大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)304 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

上告費用は上告人等の負担とする。

理 由

上告代理人宮崎武吉の上告理由第一点について。

論旨は、原審に審理不尽、法律解釈の誤りがあると主張する。

しかし、原審は、本件家屋が訴外Dの所有であり、訴外Eが右Dの先代以来これ

を賃借して居り、この賃借権を被上告人と上告人先代とにそれぞれ譲渡し、右所有

者Dにおいて被上告人の譲受のみはこれを承諾したけれども、上告人等先代の譲受

に対しては承諾を拒んだ事実を確定し、この事実に基いて、被上告人が本件家屋の

正当なる賃借権者となつたものと判断して居るのであつて、これに法律適用の誤り

はない。右所有者が訴外Eに対し本件家屋の賃貸借契約解除の意思表示をしなかつ

たことは、原審の右判断を左右しない。

論旨は、原審の認定に反する事実を前提とする主張であつて、既にその前提をか

くのであるから、採用し得ない。

同第二点について。

論旨は、被上告人が訴外Dに代位して本件請求の訴を提起し得ることに疑問があ

る旨主張する。

本件請求は、被上告人が本件家屋の所有者でありかつ賃貸人である訴外Dに対抗

し得る賃借権を取得したことを理由として、その賃借人たる被上告人の使用収益権

を保全するため、訴外Dの本家屋の所有権に基き、正権原なき上告人等の先代に対

する明渡請求権を行使する趣旨であるから、かゝる請求の許されることは、明かで

ある。

論旨は理由がない。

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同第三点について。

論旨は、原審が建物の賃借権を賃貸人の同意なくして債権の担保に供したことを

有効としたのは、法律解釈を誤つたものである如く主張する。

本件において、被上告人は、訴外Eに対する貸金債権を担保するため、同人より

本件家屋の賃借権の譲渡を受け、その賃貸人たる訴外Dの承諾を得たと主張し、原

審はその主張を正当としたのである。財産権を譲渡担保に供するには、それに譲渡

性のあることを以つて足るのであつて、財産権は、その譲渡性に対し特に法律の定

めのある外、制限がないものと解すべきであるから、賃借権の譲渡に対する民法六

一二条一項の制限も、賃貸人の承諾により除かれた以上、被上告人が譲受により有

効に本件家屋の賃借権を取得したものであること明かである。

論旨は、独自の見解を示すに外ならないのであつて、採用し得ない。

同第四点について。

論旨は、原判決の憲法二二条違反を主張する。

しかし、上告人が原判決の違憲であるとする事由は、原審において主張立証がな

いばかりでなく、論旨は原審の事実認定に添つて居ない。

論旨は上告適法の理由とならないから、採用し得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 高 橋 潔

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